それはたった一瞬の、


沙霧が耳をふさいで、激しく顔をしかめる。

確かに朝っぱらからこの高音ボイスはつらいかもしれない。


「もうちょっと静かにできねぇのかよお前は…。藍火に嘘付くことの方がひどいだろーが」

「はっ、そういえばそうかも」

「だろ?ほらほら、俺ってばいいことしただろ?謝れよ、感謝しろよほら」

「うぅ…っ。あ、ありがとうなんて言いたくないけどありがとうかも」


それって感謝することなのかな…。

柊を見上げると、おかしそうにくすくす笑っていた。

よもぎちゃんの方からもおしとやかな笑い声が聞こえてくる。


これが日常茶飯事だとしたら、私の身は保つんだろうか。


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