それはたった一瞬の、
通された居間では、温かい朝食が待ち受けていた。
「おいしそう…」
席に座り、全員で手を合わせ。
『いただきます』
焦げていない目玉焼き。
非の打ちどころも無い程の味付け。
飛び交うたくさんの会話。
ここが家とはまったく違う場所であることを改めて思い知らされる。
「どーした藍火。俺の飯が食えねぇとか言うなよ?」
沙霧がご飯を口いっぱいに頬張りながら首を傾げる。
違うよ、おいしいよ。
おいしいけど…。