それはたった一瞬の、
柊がにっこり笑う。
「お手をどうぞ、お嬢様」
「な…!?」
紳士なのはいいけれど、こういう扱いには全然慣れない。
女の子らしさなんてほとんどないし、男の子と付き合ったりとか、そういうこともなかった。
赤面してしまう所がさらに恥ずかしい。
ふくれっ面でその手を握って、私たちは建物を出た。
「いってらっしゃいませ」
深々と頭を下げて私たちを見送ろうとするよもぎちゃんに、私は声をかける。
「よもぎちゃんも一緒に行かない?」