それはたった一瞬の、
言いようのない疎外感と衝撃が私を優しく貫く。
「教えて、くれないの」
「ごめんね」
「どうして?私が知ったらいけないことなの?」
「…きっと、藍火は傷付く」
真相がわからないまま、問題の表面をなぞり合うような応酬が続く。
奇妙な論議が胸の内まで覆い隠していくようで気味が悪い。
これ以上聞き出しても無駄だと思って別の話題を考えていると、風に乗って小さな声が聞こえた。
「あそこにいるみんなは、それぞれ何かを抱えているからね」
何でもないことのように呟かれたそれは、大きく深い意味を持っていて。
急に体が強張って動かなくなる。