それはたった一瞬の、


何をやっているんだろう。
柊にもらった答えが満足できないからって、こんな。

「申し訳ございません、わ、私には…」

「いいよ、無理に答えなくて」


よもぎちゃんのように優しく笑えない私がそう言えば、突き放した言動のように思われるかもしれない。

一抹の不安を抱きつつも、それ以外に言えなかった。

ましてやこれ以上答えを急かすようなことは。


「藍火…」

「ごめんね。ちょっとだけ八つ当たり、だったかも」


こんな風に泣きそうな顔を、させたいわけじゃなかったのにな。



< 37 / 228 >

この作品をシェア

pagetop