それはたった一瞬の、


ため息を伴った沈黙が下りるこの空間に、思いがけない横槍が入る。

「だあぁーっ!だっから、なんでお前はそんなに一気に入れるんだよ!」

「えぇー!?だって大は小を兼ねるってことわざがあるんだよ!」

「そんな知識は今いらねぇんだよバカ!」


…何事?

よもぎちゃんと顔を見合せながら声のする方に行くと、鼻をつく異臭が私たちを包み込んだ。

思わず顔をしかめてしまう。


「お、藍火によもぎ。最悪な時に来たな」

「そ、そんな言い方しなくてもいいかも!…でも、ちょっとだけ的を射てるかも」

もくもくと奇妙な煙を上げているのは、コンロの上の鍋。

なるほど、何となくわかった。


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