それはたった一瞬の、


着物の袖をまくったよもぎちゃんが、台所の前に立つ。

「では後片付けは私がしておきますね」


その手を釧奈が制した。

「大丈夫。よもぎは向こうに行っててほしいかも」

「ですが…」

「いいの。あたしがやったことだからあたしが片付けるの」

その頼もしくも儚い笑顔は、小さな体のどこから出てくるのか。

幼稚園児ぐらいの小さな彼女も、振る舞いは大人と大差なかった。


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