それはたった一瞬の、


「でも疎外感なんてのは感じなくていい。今から俺の話を聞けば、お前も情報の共有者だ」

怪しくも甘い言葉に、心が傾く。

『共有者』という響きはその時の私にとって、蝶を惹きつける蜜のようなものだった。


彼がにやりと自嘲的に唇を引き上げ、自身の胸を拳で叩く。



「俺の体は、生きてない」


互いの息遣いさえも聞こえる静かな部屋が、その一瞬だけ無音になった。

息が、止まる心地がした。
実際に止まっていたのかもしれないと思えるほど。

「さっき聞いただろ。俺には誰かが付いてなきゃいけねぇ」


< 49 / 228 >

この作品をシェア

pagetop