それはたった一瞬の、


間もなく沙霧が、釧奈の小さな手を引いて戻って来る。

でも思ったけど、沙霧は釧奈を好きなんだよね。
それってロリコ…。

「おい、食べようぜ」

「あっ、う、うん!」


結論に至りかけた思考を慌てて中断し、私は自分の席に座る。


…家とは違う、父さんと2人っきりじゃない食卓。

優しい人たちに囲まれて、あたたかくて、楽しくて。


でもどうしてこんなに、胸の中が空っぽのような気がするんだろう。


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