それはたった一瞬の、


そんなことを考えながら、2人で朝の街を歩く。

咲き乱れる花の香りがよもぎちゃんだけを歓迎しているようで、ちょっと気に食わない。


「で、どこに行くの?」

「ある方に贈り物をしたいのですが、何を渡せばいいのかわからなくて…」

そこでピンと来た私は思わず頬を緩める。

「もしかして好きな人?」


よもぎちゃんが一瞬目を見開いたかと思うと、ふんわり微笑んだ。

「いいえ、その方は女性ですので」

「ふぅん…」

私が選ぶものよりはよもぎちゃんが選ぶものの方が、百倍センスがいい気がするんだけど。


< 67 / 228 >

この作品をシェア

pagetop