それはたった一瞬の、
そんなことを考えながら、2人で朝の街を歩く。
咲き乱れる花の香りがよもぎちゃんだけを歓迎しているようで、ちょっと気に食わない。
「で、どこに行くの?」
「ある方に贈り物をしたいのですが、何を渡せばいいのかわからなくて…」
そこでピンと来た私は思わず頬を緩める。
「もしかして好きな人?」
よもぎちゃんが一瞬目を見開いたかと思うと、ふんわり微笑んだ。
「いいえ、その方は女性ですので」
「ふぅん…」
私が選ぶものよりはよもぎちゃんが選ぶものの方が、百倍センスがいい気がするんだけど。