それはたった一瞬の、
歩きながら目につくのはやはり、咲き乱れる花々よりも穏やかな笑顔の人々よりも灰色のそれだった。
…どうして、ここは。
そう思ってからふと気付く。
ここの気候が、私の家の周辺とはずいぶん違うことに。
家を出る時は暑いぐらいの陽気だったけれど、ここはまったくそんなことはない。
だけどおかしい、言い表せない。
温かいとも涼しいとも形容しがたいこの空気は、どの季節に位置するのだろう。
「よもぎちゃん、今って春?それとも秋?」
よもぎちゃんが頬に手を添え、小首を傾げる。