それはたった一瞬の、


得意げに胸を張ってそう言うと、母さんはどこか哀しそうな顔で微笑んだ。


いつも見てきた母さんの笑顔との違いに、違和感が生まれる。

母さん…?


「…か、藍火」

誰かに呼ばれてる。
でもまだ母さんといたいなぁ。

…いっか、まだここにいても。

ゆっくり腰を下ろそうとしたその瞬間、


「藍火ぁぁぁ!おーきーてー!!」

「わぁぁっ!?」

耳元でガンガン響く高音に、体が条件反射で跳ね上がる。


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