それはたった一瞬の、


釧奈が人差し指を立てて笑う。

「今さら気付いたの?ここに季節がないってこと」

「あ…!」


そうだ、そうだった。

季節がないってわかった途端、それまでの暑さや寒さが急に恋しくなって。

「無理もないよねぇ。藍火がいた所は暑かったんだっけ?」

こくりと頷くと、釧奈はちょっとだけ大人っぽく笑った。

何だろう、この違和感。

釧奈ぐらいの歳の子って、みんなこんな笑い方をするんだろうか。


「気温がいきなり変わったんだもん、熱が出るのも当たり前かも」


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