それはたった一瞬の、


そう言うと部屋の中を落ち着きなくうろうろしながら、嬉しそうに言う。

「今ね、沙霧がおかゆ作ってくれてるんだよ。もうちょっとで来るかも」


あぁなるほど、だからそんなにうれしそうなのか。

まるで兄妹のように見えるけれど、2人は確実に両想いだった。


歳が離れすぎていたりお互いに意地を張っていたりするせいで、なかなか想いが成就しないことがじれったかった。

「…ねぇ、この前沙霧から何か聞いた?」


ふんわりと和んでいた空気が急速に冷える。


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