それはたった一瞬の、
2.ようこそ朱天楼へ
ドアの外に一歩踏み出し、私は目を見張る。
そこはまったくの別世界だった。
「ここどこー!?」
薄暗くて辺りにもやがかかったような不思議な場所。
そこを迷うことなく、よもぎちゃんは進んでいく。
「大丈夫です藍火様。もうすぐ到着いたします」
その言葉を信じてよもぎちゃんの後をついていくと、急に眩しい光が私たちを包んだ。
「…っ!?」
思わず閉じていた目をうっすら開き、再び目を丸くしてしまう。