それはたった一瞬の、


うとうととまどろんでいると、ドアが再び開く音がした。

釧奈は出て行ったはずなのにどうしたんだろう。


「起こしたか?」

キラキラ輝く金髪とぶっきらぼうなしゃべり方に、そこにいるのが沙霧だと理解する。

そう言えば、沙霧がおかゆを作っていると聞いた気がする。


質問に小さく首を振ってから、ふと気付く。

「聴いてた?」

私たちの小さな声での会話も、彼の耳には聞こえていたんじゃないだろうか。

だったらもう、釧奈の気持ちは筒抜けのはずだ。


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