それはたった一瞬の、


このまま時が止まってしまえばいい。


そうすれば限りある時間に惑わされることも無い。

釧奈も沙霧も、明るい幸せを手に入れることができる。


それなのにどうしてこんなに、ここはこんなにも。

――残酷なんだ。


熱で滲む世界が、ゆっくりとおかゆの湯気で白く染まる。

白く、熱く、涙を誘うように。


< 99 / 228 >

この作品をシェア

pagetop