隣のカレ【短編】
「ひーなー?」
うつむいたままのあたしの顔を冬夜が覗き込んだ。
「‥え!?ひ、陽菜、何で泣いてるの?お、俺何かしちゃったかなっ!?」
わたわたと冬夜が慌てだす。
違うよ、そう言いたいのに声が出なかった。
ガタッ
突然日向くんが席を立つ。
あたしはうつむいていた顔を上げ日向くんを見た。
日向くんは冬夜をものすごくにらんでいる。
「何泣かせてんの?」
「へ?」
日向くんの言葉につい間抜けな声が出てしまった。
すると日向くんは突然あたしの手を掴んで教室を出た。
冬夜は何が何だか分からないとでもいうような顔であたしたちを見ていた。
あたしも何が何だか分からない。