隣のカレ【短編】
だいすきなひと
その後、教室に戻ると
ものすごい勢いで冬夜に謝られた。
「ごめんね陽菜!ごめんね!俺陽菜に何したか分からないけど泣かせちゃったんだよね!ごめんね!」
ぎゅっと冬夜があたしの手を握った瞬間、後ろから舌打ちが聞こえた。
「あー‥冬夜、だっけ?」
「ん?誰?」
「日向郁斗。白石‥陽菜は俺の彼女だから、触んないでくれる?」
バシッと冬夜の手を振り払った日向くんはあたしを自分の方へ引き寄せた。
ていうか、陽菜って!陽菜って!
「か、彼女?」
ポカンとあたしと日向くんを見つめる冬夜。
「そう。だから陽菜に触んないでよ」
コクンと静かに首を縦に動かした冬夜に日向くんは満足そうに笑った。