はつこい―最後の恋であるように―
「俺、彼女はいないけど、
セフレはいたんだ。
セックスする、友達。

大学の同級生でさ、
大学入ってすぐくらいに、
そういう関係になった。

最初は、責任とって付き合おうとも思ったんだけど、
向こうが俺に好きな人がいるなら、
別に良いって言われて。
それでそのまま。

だけどひとつだけ約束しててさ。
どっちかに恋人が出来たら、
この関係はおしまい、って。

それであの日、
向こうに彼氏が出来てさ、
それで言われたんだ。
『死んだ人を超えられる人はいない』って。

それで、杏美のこと
思い出してさ。
バス停に行ったんだ。」


田野の目は、酒のせいか、
うっすらと赤みを帯びてきた。
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