はつこい―最後の恋であるように―
「杏美と最後に話したのは、
多分俺だ。
あの時俺が行かせなければ、
杏美は今も生きていたかもしれない。
俺と一緒にはいなくても、
誰かと付き合って、
幸せに暮らしていたかもしれないんだ。
それで良かったんだよ。」
そう言ったきり、
田野は顔を伏せた。
田野はきっと、
愛した人をまた失うのが、
怖いのだろう。
だから好きにならないなどと言うのだろう。
多分俺だ。
あの時俺が行かせなければ、
杏美は今も生きていたかもしれない。
俺と一緒にはいなくても、
誰かと付き合って、
幸せに暮らしていたかもしれないんだ。
それで良かったんだよ。」
そう言ったきり、
田野は顔を伏せた。
田野はきっと、
愛した人をまた失うのが、
怖いのだろう。
だから好きにならないなどと言うのだろう。