はつこい―最後の恋であるように―
同じ職場ということもあり、
お互いの仕事のことはよくわかっていて、
今度はすれ違うこともあまりなかった。



付き合いはじめて2年ほどがたった頃。
咲恵は友達の結婚式へ出かけて行った。
その後会うと、うっとりと友達の晴れ姿を語っていた。

咲恵が結婚に憧れていることは知っていた。

俺自身も、将来のことを考えていないわけではなかった。


20代も半ばを過ぎ、
家庭を築き、
生涯を共にするなら、咲恵だろうと。


何より俺はこの子の声が、
好きだから。



俺は本気でも、冗談でもなく言った。


「俺達も結婚、
するか?」



咲恵が取りたいように取れば良い。
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