はつこい―最後の恋であるように―
咲恵の顔がぱっと華やいだ。

澄んだ声で
「はい。
よろしくお願いします。」
と答え、
丁寧に頭を下げた。



それから両家への挨拶やら、
式場選びやら結婚準備に追われた。

友人代表のスピーチを誰に頼むか考えたときに、
君の顔と、田野の顔が浮かんだ。


けれど、君に頼む気にはなれず、
田野に報告がてら、頼むことにした。


君に結婚を報告すると、
とても喜んで、
スピーチをやるとまで言ってくれた。
田野に頼んだと断ると君は、
中学の時、俺の告白を断った時と
同じような表情をした。
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