依頼人


 丁寧に愛撫を済ませ、ツヨシは女の中に入った。

 女が思わず喘ぎ声を漏らす。
 その艶めかしさに、ツヨシの胸はざわついた。


 身体を躍動させながら見下ろせば、女は恍惚の表情を浮かべ、その行為に酔いしれている。
 ツヨシも次から次へと押し寄せる快楽に没頭した。

 女が何を企んでいようが、もう、どうでもいい。
 自分に、恐れるものなど何もない。
 失う物がないのだから。


 ツヨシは死さえ恐くはなかった。
 むしろ、望んでいた。
 楽になれることを、切望していた。



 ツヨシの腕の中で、女は全裸のまま小さく寝息をたてていた。
 随分と眠っていないのか。
 女の寝顔を見詰め、そんなことを想い、ツヨシもつられるように瞼を閉じた。



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