依頼人


 古びたラブホテルの一室。

 一歩踏み入れるなり、ツヨシは女の唇に自分の唇を重ねた。
 女も惜しみなくツヨシの行為に応える。

 そうして、ベッドサイドまで移動すると、ツヨシは女の腰を抱いたまま、唇の間に少し距離をとった。

「惚れるなよ」

 ツヨシはそう言って、切なげに女を見詰めた。


「わからない。
 だって、あなたは……
 とても綺麗だから」

 女はそんな言葉をスルリと口からこぼした。

「あんたこそ、
 すごく綺麗だ」

 女の濡れた髪は、色の白い肌を一層妖艶に見せる。

 ツヨシは女をベッドにそっと押し倒し、自分の下に組み敷いた。
 ほんの束の間女を見詰め、ゆっくりと再びキスを落とす。


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