DOLL+〜ボロボロだった俺の女〜
当然言われた台詞に、驚くばかりのわたし。



「………いいから、来て頂戴!」



そんな驚きを隠せない少女に、ママは優しく、強引に少女を誘う。


まるで、バーゲンセールの人気商品を、主婦達が奪い合うような光景。



「それにね……美空」


ママは少女の耳にそっとつぶやく。



「……もう、あなたは一人じゃないわ。

生まれ変わったのよ、新しい『自分』に−−」



「え……−」


そしてママは私を抱きしめた。



新しい…自分?


ママの言葉に私はこの時、混乱していたんだ。




「これからは、あなたは“美空”……

かわいい私の娘よ…??」



そう言ったママの声は、いつもの透き通るような声ではなく。


とても酷く……震えている声だったんだ。



ママ…−−


ママは、昔…何かあったのだろうか……。



じゃなかったら、ママが私を抱きしめている手が。


……こんなにも酷く、震えているハズがないから…−−




「ママ…−−」






そんな二人をあやすように、外から雨がザーッと降ってきた。


まるで、それは……
私の序章の幕を開いたことにしかすぎなかったんだ。

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