君smile。
「大樹ー♪」

そこに前川さんがやってきた。
最悪なタイミング…と思いつつ、優は
顔で思いを伝えた。

それでも前川さんはこちらへ来た。

「これ、このあいだ貸してもらった
数学の教科書。卒業式の練習で
返せなかったから。ごめんねー」

大樹はそれを受け取り、言った。
「ぜんぜん平気だよ」

ーそれは、優でも見たことのない笑顔。

「あ…そ」
自分でも言ったつもりはなかったが、声が出た。

「2人で仲良くやれば良いじゃん。
もう信じられない。こんな事知って
前みたいに付き合えるわけない」

優は、交換した大樹の名札を押し付けた。

「ー別れよぅ」
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