【短編】さくら、咲く。
その時─


ガラガラッ



突然、ドアが開いて

「あーっ!!ミキ!!やっと見つけた!!」

親友の茜が飛び込んで来た。



一瞬、何が起きたのかわからない。



「あ…茜…?」



呆然と立ち尽くすあたし。


「ちょっと、何寝ぼけてんのよ!?卒業式始まっちゃうでしょ!!ほら、楽器持って行くよッ!!」


そう言って、フルートが入っているケースをあたしにしっかりと持たせる。



まだ状況が飲み込めないあたしは、


「う、うん…」


と生返事をしたまま、茜に手を引かれて体育館へと走った。



頬の涙を、手で拭いながら…。
< 5 / 15 >

この作品をシェア

pagetop