シャボンの国 -the land of soap bubbles-
驚きで声が出ないとはよく聞くが、それを実体験した事など唯の一度として無い。



両親の自殺現場を見た際にも花音は大声を上げたぐらいなのだ。



声が出ないのはきっと。



目の前に居る男の美しさが余りに浮世離れしていて、どこか夢と現実の境目にでも居る感覚に陥ってしまってるから。



なのに、男の声は花音を現実へと引き戻す。






「我を呼んだのはそなとぅっっ………」





……。


………噛んだ?




「…………。」



「…………。」



「…………。」



「…我を呼んだのは。…そなたか?」



「…言い直した。しかも思いっきり噛んだとこ間空けてる、」
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