シャボンの国 -the land of soap bubbles-
甘えてる、だなんて。



そんなの自分が一番よくわかってる。



だけど仕方ないじゃないか。




「ありがとう」を伝えたかった。



「幸せだった」と伝えてくれた母上と同じ様に、自分も「幸せだった」と伝えたかった。



「さようなら」を伝えたかった。



最後を笑顔で見送ってやりたかった。





その全て叶わずに。



だけど母上はもうこの世にはいなくて。





「…甘えて何が悪い、」





思い出に浸るしか母上に会えないのなら。



例えそれが単なる甘えだとしたって。



俺は母上の傍に寄り添いたい。



頭の中でなら母上との最後を何度だってやり直せるのだから。
< 139 / 234 >

この作品をシェア

pagetop