シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「…カイル様、どうされましたか?」



「…修行してくれよ、」




睨む様に言えばその従人はまるで俺が来る事をわかっていたかの様に俺を見据えた。




「…俺の魔力のでかさがあればそれをリルに分けてやる事も可能なハズだ。そうだろ?」




魔力はいわばその者の生命エネルギーとも言える。




常人並の者が魔力を誰かに分け与えてしまえば、当然与えた方の体にも支障が出るだろう。



だけど俺なら。



魔力だけは常人以上にある俺なら。



リルに魔力を与えても大丈夫なハズだった。



いや、例えそれが原因で俺の体が壊れてしまおうとも。




『幸せだったわ』




あんな後悔をするぐらいなら―――。

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