シャボンの国 -the land of soap bubbles-
リルの部屋に辿りつき、そっと扉を開ければ中からは眠りながらも苦しそうな寝息を漏らすリルの姿が目に映る。




そっと傍に近づいて、教えられた通りに術を施した。




手の平に集中する光はカイルの髪と同じ白銀のもの。




まばゆい光をリルの額にあてて念をこめる。





―――どうか。リルに俺の魔力を。





放たれていた光が少しづつ輝きを失くしていく頃、リルが漏らしていた苦しい寝息が安らいでいった。




「…成功、したのか…?」




魔力がリルに与えられて、薬が効いたのかもしれない。




突然の脱力感にその場にしゃがみこめば、次にカイルを襲ったのは安堵感と達成感。




「…よかった、」




頬を流れた一筋の涙はその体温よりも温かかった。
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