シャボンの国 -the land of soap bubbles-
花音が首を傾げれば、カイルは更に続きを零していく。




「俺たちには生まれ持った魔力がある。それは個人によって力の差があるけど。魔力が強ければ強い程、食事とか睡眠を取る必要はなくなるし、病気にもかかりにくくなるんだ。まぁ、そこまで強い魔力を持ってるのなんて王族の者だけで、後の奴らは人間と同じように食事も睡眠も取ってるよ。魔力の影響で寿命は人間より長いけど」




「へぇ…」





普段はふざけてばかりだし、あまり立場をひけらかす様な事をしないカイルだけれど、今の話を聞く限りではやはり凄い立場に居るのかもしれない。




寝なければいけない、と花音は思うのに、どうにも好奇心に負けて昨日頭に浮かんだ疑問をぶつけてみた。




「シャボンの国ってどこにあるの?どんなとこ?」




嬉々として訊ねればカイルはどこか呆れた様にして溜息を吐き、だけど次の瞬間には穏やかに笑みを携えたままに言葉を紡いでくれた。
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