シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「どこにある…って言うのは上手く説明出来ないけど。ただこの世界とは違う場所にある。例えばここが人間界であるように、この世界には天界や魔界なんてのもあるんだ。それと同じ様にシャボンの国は存在する」



半ば信じられないような話なのに、花音が信じてしまえるのは熱の所為か。



そもそものカイルの存在故か。



もしくは―――、




「シャボンの国は全ての物がシャボン玉で形作られてるんだ。人間界で言う空を飛ぶための道具も、道を走る道具も。緑や王宮だって。シャボンには色んな色や大きさがあってな?それらを作る専門職だってある」




カイルの表情が穏やかに何かを懐かしんでいるのが見て取れたからか。




「…素敵だろうなぁ、」




花音の口からは自然とそんな言葉が漏れた。



いつだって賑やかなカイルをこんな風に穏やかな表情にさせてしまえる程素敵な場所なのなら―――、




「…たしも、行ってみたいなぁ」




それは目の前に居るカイルにですら聞こえない程の小さな声。
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