シャボンの国 -the land of soap bubbles-
ふいに、握られた手の感触以外にもカイルの手の感触が増えた事に気付く。



昨晩と同じように頬を撫でつけ、その優しい仕草はまるで大事にされているかの様な錯覚を花音に植えつけてしまう。




「…淋しかった?」




サミシカッタ?



さみしかった?



淋しかった?





カイルの言葉が頭に届くまで僅かに時間がかかった。



その意味を理解すれば花音の目頭が熱いものに覆われていく。



そして花音は気付く。








あぁ、私は。



ずっと誰かにそう訊ねて欲しかった。



孤独に気付いてもらいたかった。



淋しくて淋しくて。



本当はどう仕様もなかったの。
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