シャボンの国 -the land of soap bubbles-
***




「………ん、」





いつの間に眠ってしまったのか。



ふと花音が目を覚ませば手に感触を覚え、視線を寄越せばすぐ傍にカイルの寝顔がある事に気付く。



それと同時に手の感触はカイルのものだと知り、胸の奥が温まるのがわかった。



あんな風に泣きついてしまった事を今更ながらに恥ずかしく思い、僅かに後悔すれば体を包むカイルの感触まで思い出してしまう。



横目でカイルを盗み見ればその寝顔はあまりにも端整で、普段よりも幾分か自分と同い年ぐらいの様に見えた。



漆黒の髪も透き通る程に白い肌も、無意識のうちに触れたくなる。



それらはあまりに芸術的で、それだけでカイルの美しさを引き出しているかの様にも思えた。
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