シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「なぁー、花音。そこのでかい機械で涼しくできんだろ?そっちつけろよ」



「駄目。エアコンは電気代高いんだから。我慢して」



「無理だって。マジで暑いんだから」



「魔力とやらでどうにかしなさいよ」



「体温調節する為の魔法なんざ知らねぇよ」





ぐだぐだと言い合いながらいつまでもしつこいカイルに苛立ってしまうのはこの暑さの所為もあったのかもしれない。




「大体さぁー、俺ここに来てからどんだけ時間経ってんだよ。まだ願い事決まんないわけ?」




そんな言葉に一瞬ドキっとして。




「あ、もしかしてアレか?俺と居たいから願い事言わないとか?」




そんな冗談めいて落とされた言葉があまりに図星で。




「馬鹿じゃないの?そんなわけないじゃない!カイルみたいに我侭ばっか言う人とずっと一緒なんて嫌に決まってるでしょ!」




気付いた時にはこんな言葉が滑り落ちてしまっていた。
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