シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「……ねぇ、」



「何だよ」



「カイルは…、シャボンの国に帰りたい?」





震えそうな声を何とか振り絞って。



上手く笑えていない気がして、カイルに顔を見られる事のない様に俯いた。



聞こえてくる返事は当たり前の言葉で、だけど花音の胸を痛めてしまう言葉。





「そりゃな。シャボンの国は気候の変動なんてほとんど無いからこんな暑い日もないし?美人の婚約者だって待ってる事だし?」





カイルは今どんな表情をしているのだろうか。



俯く前に見えたままにそっぽを向いて、こちらすら見ていないのかもしれない。
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