シャボンの国 -the land of soap bubbles-
気付いたところでもう遅い。



だって婚約者の存在を知ってしまった。



いや、それ以上に。



もう。



いい加減、カイルを解放してやらなければならない。







「…………っ、」






ポタポタとズボンの上に滴が落ちて。



それは止まる事無く少しづつ、だけど確実に勢いを増していく。






きっと今を逃すとまたカイルを解放してやれなくなってしまう。



私は。



一人を恐れる臆病者だから。
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