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今だに碧に花札で勝てない自分が不思議で、碧は勝ち逃げを得意としていた。


「…どーやったら花札勝てるのよ…」


静かな和室で私は一人呟いていた。


そっと部屋をでて、お祖母様の部屋に向かった。


庭が隣の長い廊下。
家の中でも一番奥にお祖母様の部屋があった。


明かりの漏れるふすまにそっと手を差し延べ、部屋の中に声をかける。


「お祖母様、黄衣子です」


「…入りなさい」


いつも優しい声で迎えてくれるふすまの向こうにいるお祖母様。


部屋に入ると、着物をきているお祖母様が目に入る。


「また碧と花札かい?あの子は小さい頃から素質があったからね。黄衣子が負けるのも仕方がないことだよ」


「やっぱり。碧がやりたがる意味がわかりました。私に勝てるゲームだからだわ」


お祖母様は私の言葉を聞くと、にっこりと微笑んだ。


「まったく、黒介にもやられたもんだよ。碧はやんちゃすぎてこっちが手を妬いているんだからねえ」


私が声を出して笑っていると、

「そうだ。黄衣子、誕生日だったね。何が欲しいんだい?」


……来た。



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