恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
プロローグ
海斗は、あたしの世界にそっと寄り添ってくれるひとだった。


「おれが、いつもそばにおる」


いつだって、海斗が待っていてくれた。


「けーたんなー(お帰り)、陽妃」


クリアブルーの海はいつだって両手を広げて、あたしを待っていてくれたのに。


「おれは絶対、陽妃を裏切らん」


それなのに。


どうして、あの日。


あたしは帰らなかったんだろう。


与那星島に。


……海斗のところに帰らなかったんだろう。



「おれさ、バカだよね……おれだけが陽妃のこと好きやったんかね」



海斗、ごめんね。


今なら、言えるのに。


あたしが好きなのは海斗だよ、って、今なら素直に伝えられるのに。


何もかも失った今なら、言えるのに。



どうして、あの時、伝えることができなかったんだろう。





あたし。


海斗の、いちばん星になりたかった。



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