恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「そうさっ! にぃにぃは、生徒会の副会長さんなんだよ」


大きな瞳がくるくる輝いて、眩しい。


海斗の話をする時の美波ちゃんは、いつも目をキラキラさせる。


「そうなんだ。すごいね」


「へへへ! だから仕方ないさ。生徒会の仕事で遅くなるのはいつものことさー」


美波ちゃんは、海斗のこと、大好きなんだろうな。


少し、羨ましくなった。


あたしも、お兄ちゃんが欲しかったかも。


できれば、海斗みたいな。


「じゃあ仕方ないね。今日はあたしとふたりだね。行こうか」


あたしだけでごめんね、と小さな手を握り返すと、美波ちゃんがにっこり微笑んだ。


白い歯がこぼれている。


「わあっ! 嬉しいー! 美波、ねぇねぇ大好き。だからさ、にぃにぃがおらなくても楽しいー」


胸がきゅうっと鳴いた。


なんて可愛いんだろう。


つられて、こっちまで笑顔になってしまった。


「よし。じゃあ行こう」


あたしと美波ちゃんは手を繋いで家をあとにした。














白い道に、夕陽が燦々と降り注いでいた。


ふたつの影が道に伸びる。


さとうきび畑を歩きながら、美波ちゃんが突然ハイテンションになった。


「にぃにぃはすごいんだよー!」


「海斗?」


うん! 、と美波ちゃんがピョコンと飛び跳ねた。


ツインテールが揺れて、うさぎみたい。


「にぃにぃはね、勉強も運動もいちばんできるんだって! 」


「そうなの?」


「うん! お母さんが言ってたさー! にぃにぃは、みーんなの人気者さ!」


なんだか、分かる気がした。


海斗がみんなに慕われる理由が、なんとなく分かる気がする。
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