恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
熱い頬を両手で押さえながら振り向くと、右手を振り上げながら走るシルエットが迫ってきた。
美波ちゃんが、
「あ! にぃにぃだ」
すっと立ち上がり、シルエットに向かって駆け出した。
「にぃーにぃー!」
「美波ぃよー! にぃにぃが帰って来るの待ってろよー!」
海斗だった。
「にぃにぃを仲間外れにしたバツさあっ」
と海斗は美波ちゃんをひょいと抱えて、肩車した。
「キャアーッ!」
楽しそうに、嬉しそうに、美波ちゃんが叫んだ。
「陽妃もさ! 何さー! 待っててくれてもいいのによう」
はしゃぐ美波ちゃんを肩車しながら、海斗が向かって来る。
「あ、ごめん」
「まあ、いいさ。許す」
わっ。
海斗の笑顔がやたらと眩しく感じて、あたしは目を細めた。
笑顔だけじゃない。
何もかもが、眩しかった。
「ん? 陽妃。今日はどこかに出かけよったか?」
切れ長の目をますます細めて、海斗が顔を近付けてきた。
その真っ黒な瞳の奥に吸い込まれそうで、あたしは完璧にどもった。
「へっ? あっ……別に。いや、あのっ……どこにも出かけてない、けど」
一度吸い込まれでもしたら、もう二度とこの世界には戻ってこれないんじゃないかと、焦った。
手にへんな汗を握っていた。
「今日は化粧してるんだな」
プッと海斗は吹き出しながら、美波ちゃんを砂の上に下ろした。
海斗の髪の毛。
今日もつやつやで、さらさらだ。
「今日の陽妃は、100倍でーじちゅらさんだね」
あたしはゆっくり深呼吸しながら、胸を押さえた。
「あの……でーじちゅらさんて、どういう意味?」
美波ちゃんが、
「あ! にぃにぃだ」
すっと立ち上がり、シルエットに向かって駆け出した。
「にぃーにぃー!」
「美波ぃよー! にぃにぃが帰って来るの待ってろよー!」
海斗だった。
「にぃにぃを仲間外れにしたバツさあっ」
と海斗は美波ちゃんをひょいと抱えて、肩車した。
「キャアーッ!」
楽しそうに、嬉しそうに、美波ちゃんが叫んだ。
「陽妃もさ! 何さー! 待っててくれてもいいのによう」
はしゃぐ美波ちゃんを肩車しながら、海斗が向かって来る。
「あ、ごめん」
「まあ、いいさ。許す」
わっ。
海斗の笑顔がやたらと眩しく感じて、あたしは目を細めた。
笑顔だけじゃない。
何もかもが、眩しかった。
「ん? 陽妃。今日はどこかに出かけよったか?」
切れ長の目をますます細めて、海斗が顔を近付けてきた。
その真っ黒な瞳の奥に吸い込まれそうで、あたしは完璧にどもった。
「へっ? あっ……別に。いや、あのっ……どこにも出かけてない、けど」
一度吸い込まれでもしたら、もう二度とこの世界には戻ってこれないんじゃないかと、焦った。
手にへんな汗を握っていた。
「今日は化粧してるんだな」
プッと海斗は吹き出しながら、美波ちゃんを砂の上に下ろした。
海斗の髪の毛。
今日もつやつやで、さらさらだ。
「今日の陽妃は、100倍でーじちゅらさんだね」
あたしはゆっくり深呼吸しながら、胸を押さえた。
「あの……でーじちゅらさんて、どういう意味?」