恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
くらくら揺れるシルエットを見つめていると、美波ちゃんがあたしに寄り添ってきた。
「いやあああ……」
そして、きゅっと手を握ってきた。
「美波ちゃん?」
美波ちゃんは唇をきゅっと結んで、うつむいてしまった。
シルエットに向かって、海斗が叫び返した。
「なにかー!」
目を凝らして見ると、次第にシルエットがはっきりしてきた。
……あ。
あの子。
白いセーラー服の女の子が、右手をぶんぶん左右に振っていた。
その手に握られている紙がひらひら揺れている。
「忘れもんだがねー!」
昨日、家先で正面衝突してしまった、あの女の子だった。
「学校に忘れとったよー」
海斗を返して、と言ってきた女の子だった。
彼女は緩やかな土手を一気に駆け下りて、白浜を一目散に走ってくる。
「ああー。めんどくさいー」
と海斗も向かって駆け出して行った。
「なんでこのプリント忘れて行くんかねえ。忘れんよ、普通」
顔がはっきりすると、やっぱり彼女は美少女だった。
「海斗らしくないば。忘れもんなんて」
「うるっさいー。急いでいたのさ」
少しぶっきらぼうな口調でつっぱねながら、海斗は彼女からプリントを奪った。
「ありがとう、届けてくれて」
彼女は嬉しそうに笑った。
「ああ、そんでな。休み明けの行事のことなんだけどな。先生がさ」
「うん。何か?」
どうやら、何か大事な内容らしい。
ふたりは真面目な顔付きで一枚のプリントを覗き込んで話し始めた。
「いやあああ……」
そして、きゅっと手を握ってきた。
「美波ちゃん?」
美波ちゃんは唇をきゅっと結んで、うつむいてしまった。
シルエットに向かって、海斗が叫び返した。
「なにかー!」
目を凝らして見ると、次第にシルエットがはっきりしてきた。
……あ。
あの子。
白いセーラー服の女の子が、右手をぶんぶん左右に振っていた。
その手に握られている紙がひらひら揺れている。
「忘れもんだがねー!」
昨日、家先で正面衝突してしまった、あの女の子だった。
「学校に忘れとったよー」
海斗を返して、と言ってきた女の子だった。
彼女は緩やかな土手を一気に駆け下りて、白浜を一目散に走ってくる。
「ああー。めんどくさいー」
と海斗も向かって駆け出して行った。
「なんでこのプリント忘れて行くんかねえ。忘れんよ、普通」
顔がはっきりすると、やっぱり彼女は美少女だった。
「海斗らしくないば。忘れもんなんて」
「うるっさいー。急いでいたのさ」
少しぶっきらぼうな口調でつっぱねながら、海斗は彼女からプリントを奪った。
「ありがとう、届けてくれて」
彼女は嬉しそうに笑った。
「ああ、そんでな。休み明けの行事のことなんだけどな。先生がさ」
「うん。何か?」
どうやら、何か大事な内容らしい。
ふたりは真面目な顔付きで一枚のプリントを覗き込んで話し始めた。