恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「暇な高校生とは違うんですからね。海斗を、連れ回さんでね!」
なんで、この子にそこまで言われなきゃいけないんだろう。
「ねぇねぇっ……」
美波ちゃんが必死に振り絞ったような声を出して、あたしにしがみついてくる。
あたしは美波ちゃんの小さな手をぎゅっと握り返しながら、葵ちゃんを睨み返した。
胸がむかむかした。
ただでさえ体が火照って熱くてたまらないのに。
「ちょっと、さっきから――」
言いかけた瞬間、海斗がずいっと間に割って入って来た。
頭に血がのぼったのかもしれない。
目の前にある海斗の背中が、ぐらぐら横揺れして見えた。
「葵! 陽妃いは関係ないば! もう帰りなっさー」
「何よ!」
葵ちゃんがむっとして、海斗を睨んだ。
「言われんでも帰るさ! じゃあね」
葵ちゃんがきびすを返した。
スタスタと砂を歩いて行く。
制服のスカートの裾をひらひら揺らしながら。
「いちいちおせっかいさー。葵はよー」
ぶつぶつ文句を言いながら、海斗が戻って来る。
「にぃにぃ!」
美波ちゃんは半べそをかきながら、海斗に飛びついた。
「どうしたのか、美波。なにべそかいてる?」
一度も振り返ろうともせず颯爽と歩いて行く葵ちゃんの後ろ姿を見つめていると、海斗が話しかけてきた。
「陽妃。気にしないでね。葵いはいつもあんな感じだからさ」
イライラする。
あの子。
葵ちゃん。
あたしと顔を合わせるたびに、何かと突っかかってくる。
「陽妃?」
海斗が顔を覗き込んできた。
なんで、この子にそこまで言われなきゃいけないんだろう。
「ねぇねぇっ……」
美波ちゃんが必死に振り絞ったような声を出して、あたしにしがみついてくる。
あたしは美波ちゃんの小さな手をぎゅっと握り返しながら、葵ちゃんを睨み返した。
胸がむかむかした。
ただでさえ体が火照って熱くてたまらないのに。
「ちょっと、さっきから――」
言いかけた瞬間、海斗がずいっと間に割って入って来た。
頭に血がのぼったのかもしれない。
目の前にある海斗の背中が、ぐらぐら横揺れして見えた。
「葵! 陽妃いは関係ないば! もう帰りなっさー」
「何よ!」
葵ちゃんがむっとして、海斗を睨んだ。
「言われんでも帰るさ! じゃあね」
葵ちゃんがきびすを返した。
スタスタと砂を歩いて行く。
制服のスカートの裾をひらひら揺らしながら。
「いちいちおせっかいさー。葵はよー」
ぶつぶつ文句を言いながら、海斗が戻って来る。
「にぃにぃ!」
美波ちゃんは半べそをかきながら、海斗に飛びついた。
「どうしたのか、美波。なにべそかいてる?」
一度も振り返ろうともせず颯爽と歩いて行く葵ちゃんの後ろ姿を見つめていると、海斗が話しかけてきた。
「陽妃。気にしないでね。葵いはいつもあんな感じだからさ」
イライラする。
あの子。
葵ちゃん。
あたしと顔を合わせるたびに、何かと突っかかってくる。
「陽妃?」
海斗が顔を覗き込んできた。