恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「いいよ、大丈夫だから。あたしより美波ちゃんは? 美波ちゃんと一緒に居てあげて」
「美波なら大丈夫さ。裏のおばあに預けてきたからね」
と話しながら、海斗はあたしの額からタオルをとった。
カラン、カラン、と音がした。
そして、タオルを絞る音も。
「美波はおばあによくなついているからね。おばあも、美波に良くしてくれる」
洗面器にたっぷりはった氷水にタオルを浸して絞り、海斗はそれを額にそっと置いた。
「ひゃっ……冷たい」
キンキンに冷えたタオルが、額からぐんぐん熱を奪っていく。
「どうだね! でーじ気持ちいいだろ」
楽しそうに、クスクスと海斗は笑った。
「うん。すごく」
あたしも笑ってしまった。
「海斗の手のひらが乗ってるみたいで、気持ちいいな」
この真夏でもひんやり冷たい、海斗の手。
初めは少し抵抗があったけど、今はけっこう好きかもしれない。
海斗の手のひらの温度。
「おれの手はそんなに冷たいかね」
暗がりの中でも、海斗の瞳はつやつやと輝いていた。
「あのさあ、陽妃」
海斗が言った。
「ちゃんと、ご飯食べているのかね?」
「……何で?」
少し間があったあと、遠慮がちに海斗が続けた。
「陽妃を背負った時、心配になったば」
心配?
「陽妃、痩せすぎじゃないかね。怖かったさ。力を入れたら骨が折れてしまうかもしれんって」
「ああ……」
あたしは降参した。
海斗に嘘を言っても、無駄だ。
その真っ直ぐな瞳に嘘なんてつけそうもなかった。
「実は、あまり食べてない」
あたしはため息混じりの苦笑いをした。
「美波なら大丈夫さ。裏のおばあに預けてきたからね」
と話しながら、海斗はあたしの額からタオルをとった。
カラン、カラン、と音がした。
そして、タオルを絞る音も。
「美波はおばあによくなついているからね。おばあも、美波に良くしてくれる」
洗面器にたっぷりはった氷水にタオルを浸して絞り、海斗はそれを額にそっと置いた。
「ひゃっ……冷たい」
キンキンに冷えたタオルが、額からぐんぐん熱を奪っていく。
「どうだね! でーじ気持ちいいだろ」
楽しそうに、クスクスと海斗は笑った。
「うん。すごく」
あたしも笑ってしまった。
「海斗の手のひらが乗ってるみたいで、気持ちいいな」
この真夏でもひんやり冷たい、海斗の手。
初めは少し抵抗があったけど、今はけっこう好きかもしれない。
海斗の手のひらの温度。
「おれの手はそんなに冷たいかね」
暗がりの中でも、海斗の瞳はつやつやと輝いていた。
「あのさあ、陽妃」
海斗が言った。
「ちゃんと、ご飯食べているのかね?」
「……何で?」
少し間があったあと、遠慮がちに海斗が続けた。
「陽妃を背負った時、心配になったば」
心配?
「陽妃、痩せすぎじゃないかね。怖かったさ。力を入れたら骨が折れてしまうかもしれんって」
「ああ……」
あたしは降参した。
海斗に嘘を言っても、無駄だ。
その真っ直ぐな瞳に嘘なんてつけそうもなかった。
「実は、あまり食べてない」
あたしはため息混じりの苦笑いをした。