恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「なっ、何でか! 要らんて何か!」


悠真。


島の子にしてはあか抜けていて、どちらかというと都会的な印象で。


ちゃらちゃらした外見で。


「失礼ないなぐ(女)だば!」


その顔立ちと髪型がなんとなく大我に似ていたものだから。


あたしが一方的に苦手意識を抱いてしまっただけなんだけど。


「ゆたさんからさ!(いいからさ) 教えてやるさ、言っとるば!」


「いや、だから……本当にいいって」


第一印象があまり良くなかったわけで。


「遠慮さんけーって!(遠慮するなって)」


ぶっきらぼうだし。


何より、強引さに引いてしまったというか。


「別に遠慮してるわけじゃ……」


困っていたところに入って来たのは、呆れ顔の里菜だった。


「陽妃。ごめんね。悠真はさバカだけど悪いやつじゃないからさー」


結局断りきれずに、里菜がそこまで言うなら、とアドレスも番号も交換してしまったというわけなんだけど。














ふたりと連絡先を交換した日の夜。


夏休み明けから通う高校決まった。


というより、決めた。


「いいの? 本当に。お金の事は気にしなくていいのよ」


「うん。いい。決めた」


「そう。まあ、陽妃が行きたいなら、お母さんは反対しないけどね」


と言いながら、お母さんは向かい合うテーブルの上のプリントに視線を落とした。
< 177 / 425 >

この作品をシェア

pagetop