恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「じゃあ早速、制服の寸法合わせお願いしないと。明日にでも電話で予約入れておくから」


「うん。お願い」


編入試験は何校か受けた。


あたしの平凡な成績で引っかかる事ができたのは、その中の2校だった。


那覇にある全寮制で進学に力を入れている私立S高校と、唯一この島からフェリーで通う事ができる石垣島の公立N高校。


私立S高校は寮生活が強いられる。


寮は規則とかルールとか面倒臭そうだし、ただでさえ慣れない沖縄の生活なのに寮生活を続ける自信なんてなかった。


それも理由のひとつだった事は確かだったけど。


里菜と悠真。


ふたりの存在が今回の決断の最大の理由になったのは明確だった。


フェリーで通うとなると朝も早いし大変かもしれないけれど、寮に入るよりはいい。


そして、里菜と同じ高校に行きたいと思った。


知り合って間もないとはいえ、知り合いが居るのは確実に心強いと思った。


お母さんと話し終えたあと、そのことを里菜にメールで伝えるととても喜んでくれて、後日、制服の寸法合わせに付き合ってもらえる事になった。










2日後。


朝、昼、夕。


1日にたった3本しか走っていないバスに乗って、フェリーのターミナルへ向かった。


「里菜ー! おは……よ、う?」


あれ。


寸法合わせのあと、里菜が石垣島を案内してくれるって言ったから動きやすいように、デニムのショートパンツにTシャツ、足元はぺったんこのサンダルにしたのに。

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