恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
でも、ターミナルで待っていたのは、


「陽妃……じゅんにじゅんに、わっさいびーん! (本当に本当にごめん)」


「えっ?」


「あ、ごめんていう事さ!」


本当に申し訳なさそうに肩をすくめて頭を下げるジャージ姿の里菜と。


「わんがおるからさ、しわねーらんさ (おれがいるから、心配要らない)」


なぜか。


呼んでもいない、悠真だった。


「てか、何で居んの? あたし、里菜と一緒に――」


噛み付く勢いで悠真に詰め寄ったあたしの腕を捕まえたのは、


「違うさ! わんが呼んやっさー」


里菜だった。


「……え? 里菜が?」


どういう事かと首を傾げると、里菜は困り顔で言った。


「わんが悠真にウニゲー(お願い)しちゃんさ」


「う、うに……げ? うに?」


「あー……ウニゲーはお願いって事さ」


ごめんね、と謝って来た里菜がスポーツバッグから取り出したのは、朱いユニフォームだった。


「練習試合さ」


アタッカーの先輩か急に体調不良を訴え、里菜が代わりに出場する事になったらしい。


「今朝電話あってさ。急やたんどー。ごめんね」


「そうなんだ」


そういう理由ならしょうがないと思う。


それに、これは里菜にとって大チャンスでもあるのだから。


いい結果を出せば、この先も試合に使ってもらえる機会が増える。


あたしだって、分からないわけじゃない。


中学の頃は陸上部だったし、運動部の事情を全く分からないわけじゃない。
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