恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「この島やぁいいところだしよ。時間がゆっくり流りゆん。空も海も木も花も、かじ(風)もさ、ちゅらさんだしよ。何より、人が温かい」
「……うん」
「ここやぁ神様が居る島だしよ。きっと、助けてくりゆんからさ」
シワサンケー、ナンクルナイサー、とふたつの言葉を添えて、悠真は夕日色に霞む水面を見つめながら言った。
「きっと、陽妃もこの与那星島が大好きになるよ。やっさーからさ。今やぁ、ちばりよー」
貸切状態のバスに揺られながらひとしきり涙を流し、次第に引けて、スンと鼻をすすった時、
「はーっさ!」
運転手のおじさんの大きな声にハッとして、弾かれるように顔を上げた。
「えっ、なに?」
「ねぇねぇ! ちょっと、窓の外見てみなっさー!」
「へ?」
何事かと窓の外に視線を投げ出すと、
「うわ……きれー」
バスは海沿いの直線を走っていて、トワイライト色に染まる空の袂と海がパノラマのように広がっていた。
「ほら、今夜や満月やっさー」
「……ほんとだ……まんまるだ」
夜はもうすぐそこまで訪れている。
上空には朧げで、でも、コンパスで描いたように正確な丸い形の月が浮かんでいた。
そういえば。
東京にいた時、こうしてまじまじと月を見つめたことは無かった気がする。
「きれいですね」
呟くように返すと、おじさんはまるで自慢話をするように得意げな口調になった。
「今夜やぁ良く晴れちょるからさ、ムーンロードが見りゆんよ」
「ムーンロード?」
「そうさぁ。月の道さ」
「……うん」
「ここやぁ神様が居る島だしよ。きっと、助けてくりゆんからさ」
シワサンケー、ナンクルナイサー、とふたつの言葉を添えて、悠真は夕日色に霞む水面を見つめながら言った。
「きっと、陽妃もこの与那星島が大好きになるよ。やっさーからさ。今やぁ、ちばりよー」
貸切状態のバスに揺られながらひとしきり涙を流し、次第に引けて、スンと鼻をすすった時、
「はーっさ!」
運転手のおじさんの大きな声にハッとして、弾かれるように顔を上げた。
「えっ、なに?」
「ねぇねぇ! ちょっと、窓の外見てみなっさー!」
「へ?」
何事かと窓の外に視線を投げ出すと、
「うわ……きれー」
バスは海沿いの直線を走っていて、トワイライト色に染まる空の袂と海がパノラマのように広がっていた。
「ほら、今夜や満月やっさー」
「……ほんとだ……まんまるだ」
夜はもうすぐそこまで訪れている。
上空には朧げで、でも、コンパスで描いたように正確な丸い形の月が浮かんでいた。
そういえば。
東京にいた時、こうしてまじまじと月を見つめたことは無かった気がする。
「きれいですね」
呟くように返すと、おじさんはまるで自慢話をするように得意げな口調になった。
「今夜やぁ良く晴れちょるからさ、ムーンロードが見りゆんよ」
「ムーンロード?」
「そうさぁ。月の道さ」